パリ95番バス

映画と本とアートと遊歩

2018-01-01から1年間の記事一覧

イタリア旅行番外編 様々な「受胎告知」

10月に訪れたイタリアでは、ウフィッツイ美術館のレオナルド・ダ・ヴィンチをはじめ、いろんなところで「受胎告知」に出会いました。キリスト教アートでは、「キリストの磔刑」「聖母子像」と並ぶ人気テーマのようですが、キリスト教とは距離のある日本人と…

イタリア旅行⑩バロックのローマ、ベルニーニのローマ

ローマ2日目の朝、ホテル前のコルソ通りを部屋のベランダから眺める。古代ローマの入口とされたポポロ広場から、フォロ・ロマーノ北のヴェネツィア広場まで1.5㎞、まっすぐに伸びたストリート。 ベランダからは4頭立ての馬車を飾ったヴィットリオ・エマヌ…

イタリア旅行⑨夜のヴァチカン美術館

コロッセオ再び フォロ・ロマーノからコロッセオへ。古代ローマ遺跡中、最も有名な円形闘技場。 パリのエッフェル塔はフランス革命から100年の年に開かれた万博で建設され、古いものと新しいものが同居する芸術の都を象徴する存在、ニューヨークの自由の女…

イタリア旅行⑧ドーリア・パンフィーリのベラスケス

イタリア5日目の10月12日、最後の都市、ローマに入る。イタロでテルミニ駅に到着したのは正午過ぎだった。 駅前のタクシー乗り場の長い列に並ぶ。先頭で係の男らしい人が、乗客を並列停車のタクシーに誘導する。声をかけてくる運転手がいるが、「ぼったくり…

イタリア旅行⑦フラ・アンジェリコの「受胎告知」

ウフィツィ美術館前の人波はシニョリーア広場に続いている。 ロッジア・ディ・ランツィと名付けられた回廊は、アーチと柱に囲まれた彫像展示場になっている。本物とレプリカと混じっているので、少々ややこしいが、彫像の場合、レプリカでも気にならない。…

イタリア旅行⑥ウフィツィ美術館

旅行4日目の10月11日。フィレンツェは2連泊なので、どたばたとチェックアウトして荷物を預ける、ということなしに観光できるのがいい。 21年ぶりのウフィツィ美術館。ネットで午前9時半入場の予約をした。ホテルから歩いて5分、予約のプリントをチケットと…

イタリア旅行⑤水の都からルネッサンスの街へ

ティントレットで頭が少々くらくらとなって、サン・ロッコ大信徒会を後にする。近くにレオナルド・ダ・ヴィンチ博物館がある。レオナルドは1499年から1500年にかけ、短い期間だが、ヴェネツィアに滞在し、海軍の研究をしたとも、ヴェネツィア派絵画に影響を…

イタリア旅行④ティントレットの衝撃、ティツィアーノの色彩

イタリア3日目の10月10日早朝。ホテル近くを歩く。サンタ・ルチア駅前の船着場を発着する水上バスはすでに大勢の人を乗せている。船での出勤風景。観光がらみの職場に向かう人たちだろうか。 朝食後、スーツケースを引きずってホテル内迷路の階段を上り下り…

イタリア旅行③夢うつつのヴェネツィア

新幹線イタロの車窓から海が見えてきたと思う間もなく、ヴェネツィア本島のサンタ・ルチア駅のホームに列車は滑り込んだ。2日目の10月9日午後5時。スーツケースを押して駅舎を出ると、目の前に懐かしい風景があった。 人の往来が半端ない。風景をめでるの…

イタリア旅行②美しきドゥオーモと街歩き

「最後の晩餐」の余韻を味わいながら教会の外に出る。 教会前の広場からまっすぐ延びた道の突き当りに、なにやらビルのような塔のようなものが立っている。得体が知れない。 教会そばに学校、その向かいに文房具店がある。妻がNHKBSプレミアム「世界ふれあい…

イタリア旅行①「最後の晩餐」

なぜか、イタリアの都市の迷宮、朽ちゆく世界に身を浸したくなった。 仕事から完全リタイアして1年余り、リタイアの文字を入れ替えればイタリアになる。 21年前、妻と高校生の息子、中学生の娘の4人で参加したツアーで、ヴェネツィア、フィレンツェ、ロー…

スペインの春⑨サグラダ・ファミリア昼間編及びサン・ジョルディの日にて幕

スペイン旅行の観光最終日。 太陽の下で細部までくっきり見えるサグラダ・ファミリアは、夜とはまた違うスケール感を持って迫ってくる。 観光客の列が巡礼の列にも見える。 1882年に着工し、翌年、アントニオ・ガウディ(1852~1926)が31歳で二代目の主任建築…

スペインの春⑧セビーリャ、そして夜のサグラダ・ファミリア

セビーリャ(Sevilla)は人口70万人のスペイン第四の都市で、アンダルシアの州都。ロッシーニの「セビリアの理髪師」やビゼーの「カルメン」などオペラの舞台としても知られ、日本では昔から「セビリア」または「セビリヤ」で通るが、近ごろはガイドブックで…

スペインの春⑦ミハスの白い街とコルドバのメスキータ

グラナダのホテルの朝食には、リボン型のドーナッツをチョコレートとともに食べるチュロスまであって、上げてはいけない血糖値をついつい上げて、4日目の旅程へ。 バスはアンダルシア地方をさらに南下して、地中海に面したコスタ・デル・ソル(太陽海岸)沿…

スペインの春⑥アルハンブラ宮殿とフラメンコの夜

世界遺産アルハンブラ宮殿へは、グラナダ市街からくねくねと丘陵を上っていく。途中の道沿いには洞窟住居跡も残る。 イスラム最後の砦だったグラナダのアルハンブラ宮殿は、1492年にカトリック教徒によって陥落、レコンキスタは完成する。この年にはコロンブ…

スペインの春⑤コンスエグラの風車

トレドから風車の村コンスエグラへ向かうバスの窓外に、現代の風車、風力発電の巨大プロペラが、丘陵の尾根沿いに何基も並んでいるのが見えた。 スペイン中央部カスティーリャ地方のラ・マンチャ州。アラビア語の「乾いた土地 manxa」が名前の由来とされ、セ…

スペインの春④トレドの夢

マドリードから世界遺産の古都トレドへはバスで1時間ほど。この程度のバス移動なら楽ちんだが、翌日からは3時間、4時間がかりの行程が待っている。 街の三方を堀のように囲むタホ川の対岸から、旧市街の全景を見る。河岸にごつごつした岩が露出し、王城の…

スペインの春③「ゲルニカ」

プラド美術館から国立ソフィア王妃芸術センターへ。 ソフィアも与えられた時間は40分。1992年開設の現代美術館で、目玉はピカソ(1881~1973)の「ゲルニカ」だ。 http://www.museoreinasofia.es/en/collection 内戦時の1937年4月、反共和国政府のフランコ…

スペインの春②プラド美術館の一時間 下

プラド美術館はフランシス・デ・ゴヤ(1746―1828)の絵画150点、素描、版画500点を所蔵し、ベラスケスとともに、世界最大のコレクションを誇る。 ピレネー山脈でフランスと隔てられたスペイン北東部、アラゴン地方の寒村で生まれ育ったゴヤは、若くして職業…

スペインの春①プラド美術館の一時間 上

スペインといえば、今もまだドン・キホーテの国! 4月19日、ホテルからバスで朝一番に連れて行ってもらったのが、スペイン広場。 ドン・キホーテとサンチョ・パンサの像があり、二人を作者セルバンテスの像が見下ろしている。 前日深夜、マドリードのホテル…

「ビュールレ・コレクション」はなかなか凄かった

東京・六本木の国立新美術館で開かれている「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」が思いのほか良かった。印象派の世界有数の個人コレクションの看板に偽りなしでした。 目玉のルノワールの「イレーヌ」がひときわ輝きを放っている。「イレーヌ・カー…

スピルバーグ映画ではないけれど「ザイムショー・ペーパーズ/改ざんしまくり」

300か所にわたる財務省の「森友文書」改ざんの詳細が、新聞各紙に一斉掲載された3月13日(火)のちょうど1週間前、朝日新聞朝刊に、映画監督スティーブン・スピルバーグのインタビュー記事が載った。 今年のアカデミー作品賞などにもノミネートされた最新…

二人の写真家の「読む時間」

昼寝するゾウに寄り添うようにして本を読む上半身裸の男。場所はタイのチェンマイ。 スティーヴ・マッカリーの写真集「読む時間」は表紙から目をくぎ付けにする。 クラシックカーのそばで新聞を広げるキューバの男。 アフガニスタンのカブールでは、古着が…

「黒い睡蓮」 たまにはミステリー

クロード・モネが後半生を送ったフランス・ノルマンディー地方の小村ジヴェルニーを舞台にした仏製ミステリーと聞けば、読まないわけにいかない。 睡蓮の池近くで村の眼科医の男が水死体で見つかる場面から始まり、3世代、3人の女性の話が並行して叙述され…

犬の話

犬の一生は短い。 欠点はそれだけである。 「人生はワンチャンス!」という本の巻頭にある、作家アグネス・スライ・ターンボールさんの言葉。 戌年. 我が家のウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア(ウェスティ)のルーヴル(雄)は先月10歳になり、人間…