パリ95番バス

映画と本とアートと遊歩

戦争の本を二冊

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本屋大賞に選ばれた「同志少女よ、敵を撃て」の著者、逢坂冬馬さんは受賞インタビューで笑顔を見せなかった。ロシアのウクライナへの蛮行に「絶望」しているが故に。印税の一部をウクライナのために寄付するという。えらい!
侵略戦争が始まったころ、独ソ戦で実在した女性狙撃兵の群像を描いたこの小説を読んだ。カバーのアニメキャラの感じでスタートし、表現過剰部分もあるけれど、後半、スターリングラード攻防戦に入ると、悲劇性が際立つ。
同じ時期に堀川惠子さんのノンフィクション「暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ」も読んだ。
広島の宇品にあった陸軍の船舶輸送の司令部の物語を軸に、船舶輸送と船員たちの苦難、「補給と兵站」を通して日中戦争、大平洋戦争の開戦・敗戦を描く。飢餓のガダルカナル、原爆の悲惨も。とにかく中身が濃い。巻末の参考資料の膨大さに圧倒される。
ウクライナの廃墟と化した惨状を日々ニュースで目にするにつけ、人類は野蛮と愚行を繰り返すと、絶望的になる。