パリ95番バス

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由布岳とサント=ヴィクトワール山

 

大分県の湯布院にある由布岳を目にした時、何かに似ている、と思った。

なだらかな稜線に、少しへこんだような山頂。

ポール・セザンヌが生涯を懸けて描いたサント=ヴィクトワール山。

これは東京・アーチゾン美術館所蔵の油彩。

南仏エクサンプロヴァンスにある山を、セザンヌは油絵で44点、水彩で43点描いた。

葛飾北斎富嶽百景のようなものですね。

由布岳は豊後富士と呼ばれる。富士山ー豊後富士ーサント=ヴィクトワール山。


14年前、セザンヌの足跡を追いかけて、エクサンプロヴァンスを訪れた時のTGV車窓からのサント=ヴィクトワール山。

これは今回の旅のバス車窓からの由布岳

浮世絵の構図に影響を受けたのか、山が後景に退いた、なんとなく日本の風景を思わせるセザンヌの作品(NY・メトロポリタン美術館蔵)

大分屈指の温泉地、湯布院では由布岳を望む素晴らしい露天風呂のある旅館「夢想園」に宿泊した。

至る所に噴水があることで知られるエクサンプロヴァンスにも、ピカソチャーチルが訪れたという温泉施設があるらしい。

しかし、セザンヌも露天風呂につかりながらサント=ヴィクトワール山を眺めることはできなかったと思う。なんのこっちゃ⁉