パリ95番バス

映画と本とアートと遊歩

ニース、ナイト&デイ

マティスの礼拝堂だけ見てヴァンスの旧市街をパスし、夕方、400番のバスに1時間揺られてニースに戻る。

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夕食は、ホテル直近の日本人シェフが経営するレストラン「エコール・ド・ニース」を予約していた。パリで日本人シェフが多数活躍しているが、ここニースにも。海外のレストラン、とくにディナーでは地元の人が行く店も雰囲気、料金面でいいのだが、日本人シェフの店は料理の内容、意思疎通の面でやはり安心。和食の店はこれまで選択したことがないけれど。

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このお店では、日本語メニューこそないものの(ああ、メニューの解読こそ悩ましい)黒板に書かれたフラン語メニューを日本人スタッフがちゃんと説明してくれる。

前菜、メーン、デザートのコース27€。前菜はイワシフリットと山羊のチーズのサラダ、メーンはステーキとエビのリゾットを選択する。イワシフリットはニース名物らしく、皿に山盛りで出てきたが、美味で完食。パリの半額ほどでおいしいコースが食べられ、いい街だなあ、と単純に思う。満席だった。

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夜の街を歩く。

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教会

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マセナ広場。光る人型は7大陸を表すオブジェらしい

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紅白の噴水

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イタリアのまがい物っぽい噴水…

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海岸にもオブジェ

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夜の海を見る人たち

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翌日。昼の海を見る人たち

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曇りがちだったが、デッキテェアには水着の人々

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ホテル前のオブジェ

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パステルカラーで壁が塗り分けられた旧市街へ行く。

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ニースは多数の画家たちを引き付けたが、「最後の肖像画家」ともいわれるイタリア出身のモディリアニ(1884~1920)も1年ほど滞在した。

1918年、第一次世界大戦のドイツ侵攻で、パリからジャンヌ・エピュテルヌとともにニースに移った。エピュテルヌはここで娘を生む。南仏で描かれたエピュテルヌらの肖像画は、パリ時代より色彩が明るく、タッチもゆったりしているとされる。セザンヌのような風景画も残っている。確かに画集で見ると、ニースの作品には幸福感さえにじんでいるように見える。

ニースの近く、カーニュ・シュル・メールに滞在していたルノワールに会いに行き、助言をもらったとも、あまりいい出会いではなかったともされ、真実はわからない。

19年5月にパリに戻ったモディリアニは結核にかかり、翌年1月、慈善病院で死去、翌日、エピュテルヌは自殺という悲劇で幕を閉じる。

一目でモディリアニとわかる独自の作品世界は今も人気がある。瞳のない眼が20世紀的悲しみをたたえる。

貧困、病気、アルコール中毒、麻薬の35年の生涯は、「モンパルナスの灯」や「モディリアーニ 真実の愛」で映画化された。後者では、ピカソが悪党っぽく登場し、夜のパリを飲んだくれて徘徊するモディリアニの印象が強い。

陽光明るいニースに住み続けていれば、その後は違っていたかもしれない、と思ってしまう。 

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この日はサッカー女子W杯フランス大会のイングランドスコットランドの試合がニースであり、それぞれのユニホームを着たサポーターを街中で見かけた。スカート姿の男性も。上のピンクはスコットランド

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イングランドのサポーター。

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名物の青空市場。

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 日曜日の昼下がり、銃を持った兵士(?)がパトロールをしていた。

ニースでは3年前の2016年、パリ祭の7月14日夜、遊歩道のプロムナード・デザングレで花火見物の人々にトラックが突っ込んで2㌔暴走、84人が死亡、200人以上が負傷するテロ事件があった。

南仏の穏やかな街でも何があるかわからない時代だと、迷彩服が思い起こさせる。

デイ&ナイト。