パリ95番バス

映画と本とアートと遊歩

詩人も愛したサン・ポール・ド・ヴァンス

 マーグ財団美術館から中世の城塞都市、サン・ポール・ド・ヴァンスの村に行く。遠そうに見えるが、歩いて15分ほどの距離だ。

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村の入口でアートが出迎え。

石積みの壁、褐色の瓦屋根が南仏の雰囲気を醸す。

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のどが渇き、少しお腹もすいたので、大きな木に囲まれた涼しげなカフェで生ビールとニース風サラダ(サラッド・ニソワーズ)で軽いランチにする。

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カフェの前の空き地でペタンクをする人が現れて気づいた。ここは、ガイドブックに必ず載っている有名な「カフェ・ド・ラ・プラス」ではないか。マーグ財団美術館のオープニングセレモニーで歌ったイブ・モンタンが共同経営をしたことがあり、オランジーナのCMロケ地になったところだ。

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城門をくぐって村の中に入る。

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石畳の小路が続く中世の街並み。

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脇道の階段はどこに通じているのかわからない。迷路。

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アンティークショップの看板。

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通路か店かよくわからない。なぜか、女性が座っているディレクター・チェアーに「マリリン・モンロー」の文字。

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道沿いはギャラリーだらけ。それも現代アート。客はあまり見かけず、経営が成り立つのか、と思ってしまう。

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ここはアメリカか?

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磔刑のキリストが唐突に現れる。これもアートらしい。

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サン・ポール・ド・ヴァンスはもとは「サン・ポール(聖ポール)」という名称だったが、フランス各地にその名の村があり、ややこしいので、隣町ヴァンスの名を加えたとか。

シャガールは20年間この地に住み、お墓も村はずれにある。デュフィシニャック、スーチンも画題を求めてやってきた。

名曲「枯葉」を作詞した詩人ジャック・プレヴェールは、第二次世界大戦中の1940年にドイツ占領のパリから逃れてこの村に住んだ。パリと行き来しながら、映画「天井桟敷の人々」の脚本を書き、マルセル・カルネ監督、ジャン・ルイ・バロー主演で1944年、映画は完成した。

戦後、書き溜めていた詩を集めた「パロール(ことば)」はベストセラーになった。ピカソやブラック、シャガール、ミロと詩画集も出した。

1946年のカルネとのコンビによる映画「夜の門」は、イブ・モンタンが出演、劇中でジョセフ・コズマの曲にプレヴェールが詞を付けた「枯葉」を歌った。その縁でモンタンは1951年にプレヴェールとカルネを立会人にしてシモーヌ・シニョレと、ここサン・ポールで結婚式を行った。

様々な人に愛された村のようだ。

蛇足ながら、「夜の門」は公開時、曲ともどもヒットしなかったが、ジュリエット・グレコが「枯葉」を歌ってヒット、その後モンタンの歌として、ジャズのスタンダードナンバーとしてエバーグリーンになった。これも蛇足ながら私の名曲ベストであり、「天井桟敷の人々」も50年前、高校時代に熱狂した。「パロール」はあの高畑勲さんが訳したことでも知られるが、昔は小笠原豊樹さん訳の「プレヴェール詩集」で読み、今も本棚にある。

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村にある噴水。19世紀のものらしい。

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ジャコメッティの極細の人間を思わせるアートもありました。随分、今風だけれど。

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地下室へと続く風景画。

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ギャラリーの看板、看板…

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村を取り囲む城壁。プロヴァンスの丘陵を遠望できる。

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 1時間ほど観光のあと、村の外に出る。住んでみたくなるような一角。

次の目的地、ヴァンスへのバスを待つ。