パリ95番バス

映画と本とアートと遊歩

エッフェル塔

 

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パリのランドマークとして、パリにからんだテレビ番組ではセーヌ川エッフェル塔の定番ショットがよくでてくる。凱旋門も使われるが、エッフェル塔=パリのイメージにはかなわない。ローマのコロッセオ、ニューヨークの自由の女神、ロンドンのビッグベン、京都の清水の舞台?八坂の塔?、東京のスカイツリー?渋谷の交差点?、大阪の・・・通天閣?グリコのネオンサイン?この辺になるとだいぶ怪しくなってくる。

 あまりにもエッフェル塔はパリに同化して、エッフェル塔のないパリは考えられないようになっている。今ではシンボル以上のものだが、1898年の万博で建てられた当時、景観ぶち壊しの鉄塔だったことは容易に想像でき、作家、芸術家の間でも賛否両論だったと、いろんな書物に紹介されている。ロラン・バルトの「エッフェル塔」と松浦寿輝の「エッフェル塔試論」は再読したいと思っているが、そんな話は抜きにしても、エッフェル塔は何回でも見る価値があり、見飽きない。 

シャン・ド・マルスで 

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 バトームーシュでの夜のセーヌ川クルーズを重ねて来た。パリは夏、夜の帳が下りるのがとんでもなく遅い。午後10時になってやっと暗くなり、イリュミネーションが点灯する。1時間10分程度のクルーズでは、イリュミネーションを見るために何時に乗船するか、計算が必要になる。午後8時半ごろ、明るいうちに出航し、オルセー美術館など川沿いの建物群を見て、さまざまな橋をくぐって、ノートルダム寺院のあるシテ島を回って折り返すころ、ようやく空が夕暮れの赤みを増してくる。

 アレクサンドルⅢ世橋が近づいてくると、エッフェル塔のオレンジ色のイルミネーションが輝きだす。さらに塔に近づくと川から仰ぎみる形になり、濃紺の空を背景に塔だけがそびえ立つ夜のエッフェル塔にいつも感動する。昼間も存在感はあるとはいえ、言ってしまえば茶色のただの鉄塔でしかない。周囲が闇に沈む中に浮かび上がる姿は神々しささえたたえ、写真では伝えきれない。

パリに行くなら、夜のセーヌ川クルーズを是非体験していただきたい。食事などはどうでもいから、2階席(雨でなければ)でとにかく見て、写真を撮ることです。

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 これまで昼間のトロカデロから、あるいはアレクサンドルⅢ世橋、夜のセーヌ川クルーズの船上から撮影してきたが、今回はシャン・ド・マルスの公園で日没を待つという、異なるアプローチをした。メトロ高架橋のビルアケム橋を経由して公園に行くとすでに、広い芝生は人でいっぱい。訪れたのが好天の日曜だったせいか、ピクニック気分の人々も多いようだ。エッフェル塔のキーホルダーや置物、そしてワインを売り歩く黒人たち。

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 この場所は毎年、7月14日の革命記念日に、クラシックの音楽祭が開かれる。ラ・マルセイエーズの大合唱で締めくくるこの音楽祭をBSやYoutubeで見たことがある。聴衆30万人とも言われ、公園の芝生に立って、頭の中でその映像を反すうした。

 エッフェル塔シャンパンフラッシュが瞬くなか、帰り道のトロカデロの広場ではダンスの一群が日曜の夜を楽しんでいた。

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