日々の泡
東京都美術館で開かれているマティス展に行って来ました。 コロナ下で会えなかった関東の人々と旧交を温める合間、上野の森へ。 日本では20年ぶりの大回顧展で、パリのポンピドゥー・センターの所蔵品を中心に、初期から晩年までの変遷がわかる約150点。過去…
「アルベルト・ジャコメッテイ」展が大阪心斎橋のエスパス・ルイ・ヴィトン大阪で開かれています。 最後の彫刻作品とされる「ロタールⅢ」(1965)など戦後に手掛けた代表的な彫刻7点を観ることができます。パリのアトリエの写真や貴重な記録映画の上映もありま…
奥入瀬から青森駅を経由して鉄道で弘前駅に近づくにつれ、車窓からリンゴの木に鈴なりの赤い果実が目に飛び込んでくる。この季節ならではの風景。りんご王国・青森県、その中でも弘前市は年間18万㌧近い収穫量で、市町村で断トツ日本一。リンゴ1個300gとす…
青森の星野リゾート奥入瀬渓流ホテルには、岡本太郎の作品がある。 一つはエントランスを真っすぐ進んだ先のラウンジ「森の神話」の巨大な暖炉。 ブロンズ製で天井から吊り下げられ、縦長の梵鐘のようでもある。 渓流、樹々、人間、妖精、動物が一体になり、…
国民の過半数が反対した「国葬」の前日、京都の清水寺に参りました。東京方面からの修学旅行生や欧米らしき団体ツアーも多く、コロナ禍から立ち直りつつある京都、との印象でした。修復なった舞台屋根の桧皮ぶきが、きれいでした。真っ暗闇の胎内巡りを体験…
壁に描かれたストリートアート。建物ともども少々色あせてはいるが。 ここはNYブルックリンか、ロンドン下町か。 巨大な椅子。アートと呼ぶにはためらわれる、ただ大きいだけの椅子。 これを見れば、日本とわかる、昭和レトロの店。 ここは熊本県阿蘇市の内…
大分県の湯布院にある由布岳を目にした時、何かに似ている、と思った。 なだらかな稜線に、少しへこんだような山頂。 ポール・セザンヌが生涯を懸けて描いたサント=ヴィクトワール山。 これは東京・アーチゾン美術館所蔵の油彩。 南仏エクサンプロヴァンス…
熊本地震の発生から6年の4月14日、熊本市と阿蘇を訪れました。 2回の震度7、死者276人、多数の家屋が被災し、阿蘇山の大規模地滑りでも犠牲者が出た。 市街電車が走る目抜通りの真っ正面に、熊本城が見える。素晴らしいロケーション。駆け足の旅人に街の地震…
自然免疫の代替でしかない新型コロナのワクチン接種は受けない、と「外道」の藤原さんは言う。 「小市民」の当方はすでに2回の接種を終え、小安心している。 写真家・作家藤原新也さんへの聞き書き記事「風景を人を 変えてしまう五輪」が朝日新聞朝刊(6月…
東京・京橋のアーティゾン美術館を訪れた。前身のブリヂストン美術館から装いを一新、今年1月に開館したが、新型コロナウイルスのため二度休館、6月23日から再開した。23階建て高層ビルの4-6階に展示室があり、入館者は6階へ上がって、降りていく順路…
小林圭さんがオーナーシェフを務めるパリのレストラン KEI が、2020年度のミシュランガイド仏版で三つ星を獲得しました。フランスで日本人シェフの三つ星は初めてだそうです。 どちらかといえば、ミシュランなんぼのもんや派ですが、このレストランは別です…
平成最後の年の初め、読んでいる朝日新聞と読売新聞の記事で一番印象に残ったのは、作家恩田陸さんの寄稿でした。朝日の1月5日朝刊オピニオン欄、「TOKYO再び④居場所」。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたシリーズのひとつです。 恩田さん…
300か所にわたる財務省の「森友文書」改ざんの詳細が、新聞各紙に一斉掲載された3月13日(火)のちょうど1週間前、朝日新聞朝刊に、映画監督スティーブン・スピルバーグのインタビュー記事が載った。 今年のアカデミー作品賞などにもノミネートされた最新…
犬の一生は短い。 欠点はそれだけである。 「人生はワンチャンス!」という本の巻頭にある、作家アグネス・スライ・ターンボールさんの言葉。 戌年. 我が家のウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア(ウェスティ)のルーヴル(雄)は先月10歳になり、人間…
「私の描くグッとムービー」というコーナーが、朝日新聞の金曜の夕刊にある。いろんな人が、イラストとともに好きな映画を1本、マイライフにからめて紹介するのだが、映画評論の専門ではない人だからこその視点と出会いが面白い。 9月8日は、イラストレー…
写真家の優れた眼なのか、被写体の持つ物語性なのか、パリ好きのフィルターのせいなのか、パリをテーマにしたマグナムのこの写真展(京都文化博物館、9月18日まで)は面白かった。 アンリ・カルティエ・ブレッソンの最もよく知られた「ヨーロッパ広場、サン…
8月は戦争の記憶を呼び戻し、鎮魂する月だ。 NHKは8月12日から4夜連続のNHKスペシャルで第二次世界大戦のドキュメンタリーを放送した。初日の「本土空襲 全記録」はたまたま家に来ていた小学1年生の孫と一緒に見た。40万人以上が死んだ空襲、米戦艦に突…