パリ95番バス

映画と本とアートと遊歩

ホテル・エドゥアールⅦ(Hotel Edouard 7)―オペラ座近くにあって便利でこぎれい

ホテルに到着して部屋の窓を開けたら、オペラ・ガルニエの正面が眼に飛び込んできた。広いオペラ通りに面したセーヌ右岸2区のホテル。ここから、南仏に小旅行をして戻ってきたら、部屋が変わっていて、オペラ座は見えず、マンションの屋根、屋根、屋根。そ…

映画「セザンヌと過ごした時間」(2016年)ー林檎を描く姿を見たかった

セザンヌの絵が20世紀の芸術家の心をとらえたのはなぜか、その絵はどのようにして描かれ、あの造形、色彩、タッチに込められたものは何か、もろもろのセザンヌ絵画の秘密を映画は見せてくれるのではないか、という期待が多少あったのだけれど、むろんそれは…

パリ ピカソ美術館(Musée Picasso Paris)ー北斎とピカソは似ている

ピカソの作品は4点買った。うち2点は居間に飾っている。本物ではないが(言わなくてもわかっている)、部屋の装飾に悪くない、と思っている。 1点はパリのピカソ美術館で買った「ヴァイオリンと楽譜」。素材を張り合わせたコラージュで、キュビズム時代の…

日常に魔法をかける 映画とアートと直木賞

「私の描くグッとムービー」というコーナーが、朝日新聞の金曜の夕刊にある。いろんな人が、イラストとともに好きな映画を1本、マイライフにからめて紹介するのだが、映画評論の専門ではない人だからこその視点と出会いが面白い。 9月8日は、イラストレー…

決定的瞬間の記憶「パリ・マグナム写真展」

写真家の優れた眼なのか、被写体の持つ物語性なのか、パリ好きのフィルターのせいなのか、パリをテーマにしたマグナムのこの写真展(京都文化博物館、9月18日まで)は面白かった。 アンリ・カルティエ・ブレッソンの最もよく知られた「ヨーロッパ広場、サン…

「細雪」と「ダウントン・アビー」ではなく、桐野夏生「デンジャラス」 

谷崎潤一郎の「細雪」がとてつもなく面白い小説である、ということに60歳を過ぎての初読で知った。芦屋市谷崎潤一郎記念館の元館長のT・Kさんに繰り返し薦められていたのに、文庫本で3.8㎝の厚さ(中公文庫)に腰が引けていた。映画も原作に誘う魅力はなかっ…

戦後72年の夏 NHKスペシャル、新聞そして映画

8月は戦争の記憶を呼び戻し、鎮魂する月だ。 NHKは8月12日から4夜連続のNHKスペシャルで第二次世界大戦のドキュメンタリーを放送した。初日の「本土空襲 全記録」はたまたま家に来ていた小学1年生の孫と一緒に見た。40万人以上が死んだ空襲、米戦艦に突…

「世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史」(スティーブン・ジョンソン 朝日新聞出版)

因果関係のドラマが、目からウロコの面白さだった。 歴史の面白さは因果関係を知るところにあると思う。人、モノ、環境が何を変え、その結果どうなったか、に尽きる。受験のために歴史を丸暗記しても、興味が持てなかったのは、その面白さを知らなかったか…

パリ、ジュテーム(Paris, je t'aime)(2006)

18編のうち仏人監督は4編だけで、あとは米、英、独、スペイン、カナダ、ブラジル、日本、豪、南ア、メキシコの監督というオムニバス映画。パリ20区のうち18区(あとの2区も制作され、DVDの特典には入ってるらしい)での「街角の小さな恋の物語」だが、1話…

ミッドナイト・イン・パリ(Midnight in Paris)(2011)

パリ好きなら、イントロから心をつかまれてしまうだろう。パリの観光名所と街並みが朝から夜にかけ流れるように映し出される。セピア色というわけではないのに、なぜか懐かしさを感じる風景。 フランス人の監督ならこうは撮らないだろうなあと思う、照れくさ…

ギュスターヴ・モロー美術館(Musée Gustave Moreau)

7月23日のNHK日曜美術館「魂こがして青木繁~海を越えた“海の幸”と石橋凌の対話~」にギュスターヴ・モロー美術館が登場した。オランジュリー美術館で開催中のブリヂストン美術館展で、パリの人々は、里帰りした印象派の画家たちの絵画に加え、明治の天才…

ホテル ドービュッソン(Hotel d'Aubusson)

17世紀の邸宅を改装した6区サン・ジェルマン・デ・プレ地区にある洒落た五つ星ホテル。1泊300€~400€と、馴染み宿より少し値が張るので、1年前に2泊だけさせていただいた。値が張る分、プチゴージャス感が味わえる。 歴史を感じさせる サロンの家具調度…

佐藤正午「月の満ち欠け」

佐藤正午さんは、いつごろからか、新作の小説が出ると必ず読むという稀な作家になった。 前作「鳩の撃退法」は上下巻を読み終えるのが惜しいほどで、いつまでも作品世界に浸っていたいと思わせた。贋札か真券か曖昧模糊とした札束3000万円の詰まった鞄を預か…

オルセー美術館(Musée d’Orsay)後篇

悲劇の二人 オルセーのヴァン・ゴッホは「星降る夜」「アルルの寝室」「自画像」「オーヴェール・シュル・オワーズの教会」がよく知られ、人気も高い。 「星降る夜」はアルル時代の作品、「アルルの寝室」はアルルでゴーギャンを待つ時の寝室の情景で、二人…

オルセー美術館(Musée d’Orsay)前篇

印象派の殿堂と称されるオルセーは、数あるパリの美術館のなかで、一番好きな美術館だ。ルーヴルが少々胃もたれする脂っこい伝統料理だとすると、こちらはヌーヴェルキュジーヌ。あるいは1950年代、それまでの映画に叛旗を翻し、リアルなテーマ、撮影と編集…

ホテル ベラミ(Hôtel Bel-Ami)

多くを語るほど、パリのホテルを経験しているわけではない。1泊10万円もするような高級ホテルは、むろん泊まったことがない。どころか、これまで最高はせいぜい4万5000円程度だったと思う。だから、高級ホテルが定宿の人にはなんら参考にならないページで…

95番バス

パリでの移動手段は何が便利か、という問いはあまり意味がない。移動目的、宿泊ホテルの場所によって、それぞれ選択する必要があるから(当たり前だ)。これまで、鉄道、メトロ、バス、タクシーを使い分けてきた。自転車およびレンタカー(恐ろしそうで借り…

ブルゴーニュのワイナリー

1週間ほどのパリ旅行には、日帰りまたは1、2泊の小旅行を必ず組み込んできた。過去は、南仏(エクス・アン・プロヴァンス、アルルなど画家の足跡を追って)、モン・サン・ミッシェル(島内ホテルに1泊)、ベルギーのブリュッセル、ランス(シャンパンカ…

エッフェル塔

パリのランドマークとして、パリにからんだテレビ番組ではセーヌ川とエッフェル塔の定番ショットがよくでてくる。凱旋門も使われるが、エッフェル塔=パリのイメージにはかなわない。ローマのコロッセオ、ニューヨークの自由の女神、ロンドンのビッグベン、…

カフェであった不思議なこと

パリのカフェには店ごとにしきたりがあるようだ。知らないと少し困ったことになる。 今回は「カフェ・ド・フロール」のほか、モンパルナスの「ラ・ロトンド」、シャンゼリゼ通りと、どうしても場所を思い出せない一か所の計4店に入った。 モンパルナスは20…

ローランギャロス

テニスのグランドスラム4大会の一つ、全仏オープンは今年、日本では5月28日スタートとなっているのだが、その前に22日から予選が行われている。旅行スケジュールを組んだ時、全仏オープンは念頭になく、出発直前に予選に行けると気づいた。 23日、6区のメ…

ピエール・エルメとポワラーヌ

「パテシエ界のピカソ」といわれているそうだ。ピエール・エルメの名前は知っていたけれど、スイーツの世界に詳しくないので、高いマカロンを日本に送り込んできた人、くらいの知識しかなかった。リュクサンブール公園への散歩の帰り道に通りかかって、狭い…

ブラッスリー・リップとル・プロコープ

ウディ・アレンの映画「ミッドナイト・イン・パリ」には1920年代にモンパルナスやサン・ジェルマン・デ・プレ界隈に集った作家、画家、シュルレアリストが多数登場する。その中でも存在感たっぷりなのがヘミングウェイ。新聞社の特派員としてパリに住んだ小…

LIBRAIRIEという名の本屋

なぜかパリの書店はかっこいい。外国の書店は他にはローマのベネト通りぐらいしか記憶にないけれど、これもいい感じだった。ショーウインドウに本がおしゃれに飾られているから?天井が高く上の棚まで本が並ぶ一方で平積みも多い書店内のレイアウト?日本語…

パリの散歩道

北アイルランドのギタリスト、ゲーリー・ムーアの名曲で、ソチ五輪ではフィギュアの羽生結弦選手がショートプログラムで使った曲、ということではなく、パリの朝の散歩は楽しいという話です。 サン・ジェルマン・デ・プレのホテルで午前7時過ぎに朝食をとっ…

テイスト・オブ・パリ(Taste of Paris)

5月のパリはいろんなイベントがあるようで、18日から21日まで、セーヌ右岸のグラン・パレで「テイスト・オブ・パリ」という食の博覧会が開かれていた。美食の国フランスの食博、せっかくだからと、21日の日曜日に足を向けた。入場料が20€!、出店者の試食…

ニュイ・デ・ミュゼ(美術館の夜)のオランジュリー

ヨーロッパの主要美術館、博物館が無料になる「ニュイ・デ・ミュゼ(Nuit des musées)」となった5月20日土曜夜、欲張ってオランジュリー、オルセー両美術館をはしごして、さらにクリュニー中世美術館にもと目論んだが、最初のオランジュリーは午後6時30分…

サン・ジェルマン・デ・プレのジャズ

今回のパリ旅行は、サン・ジェルマン・デ・プレでジャズフェスティバルが開かれる5月に日程を組んだ。 サン・ジェルマン・デ・プレでジャズといえば、ボリス・ヴィアン。新大統領のマクロンさんと似ていないこともないこの作家に、40年余り前の20歳前後のこ…

5月のパリ

パリが好きだ。住んでみたいと思う。 観光旅行で訪れること9回。滞在日数はせいぜい通算50日程度だから、行くたびに発見がある。 回数を重ねても飽きない。 帰って数か月たたずにまた行きたくなる不思議な魅力を持つ街だ。 身もふたもない愛の告白みたいだ…