パリ95番バス

映画と本とアートと遊歩

イタリア旅行⑤水の都からルネッサンスの街へ

ティントレットで頭が少々くらくらとなって、サン・ロッコ大信徒会を後にする。近くにレオナルド・ダ・ヴィンチ博物館がある。レオナルドは1499年から1500年にかけ、短い期間だが、ヴェネツィアに滞在し、海軍の研究をしたとも、ヴェネツィア派絵画に影響を…

イタリア旅行④ティントレットの衝撃、ティツィアーノの色彩

イタリア3日目の10月10日早朝。ホテル近くを歩く。サンタ・ルチア駅前の船着場を発着する水上バスはすでに大勢の人を乗せている。船での出勤風景。観光がらみの職場に向かう人たちだろうか。 朝食後、スーツケースを引きずってホテル内迷路の階段を上り下り…

イタリア旅行③夢うつつのヴェネツィア

新幹線イタロの車窓から海が見えてきたと思う間もなく、ヴェネツィア本島のサンタ・ルチア駅のホームに列車は滑り込んだ。2日目の10月9日午後5時。スーツケースを押して駅舎を出ると、目の前に懐かしい風景があった。 人の往来が半端ない。風景をめでるの…

イタリア旅行②美しきドゥオーモと街歩き

「最後の晩餐」の余韻を味わいながら教会の外に出る。 教会前の広場からまっすぐ延びた道の突き当りに、なにやらビルのような塔のようなものが立っている。得体が知れない。 教会そばに学校、その向かいに文房具店がある。妻がNHKBSプレミアム「世界ふれあい…

イタリア旅行①「最後の晩餐」

なぜか、イタリアの都市の迷宮、朽ちゆく世界に身を浸したくなった。 仕事から完全リタイアして1年余り、リタイアの文字を入れ替えればイタリアになる。 21年前、妻と高校生の息子、中学生の娘の4人で参加したツアーで、ヴェネツィア、フィレンツェ、ロー…

スペインの春⑨サグラダ・ファミリア昼間編及びサン・ジョルディの日にて幕

スペイン旅行の観光最終日。 太陽の下で細部までくっきり見えるサグラダ・ファミリアは、夜とはまた違うスケール感を持って迫ってくる。 観光客の列が巡礼の列にも見える。 1882年に着工し、翌年、アントニオ・ガウディ(1852~1926)が31歳で二代目の主任建築…

スペインの春⑧セビーリャ、そして夜のサグラダ・ファミリア

セビーリャ(Sevilla)は人口70万人のスペイン第四の都市で、アンダルシアの州都。ロッシーニの「セビリアの理髪師」やビゼーの「カルメン」などオペラの舞台としても知られ、日本では昔から「セビリア」または「セビリヤ」で通るが、近ごろはガイドブックで…

スペインの春⑦ミハスの白い街とコルドバのメスキータ

グラナダのホテルの朝食には、リボン型のドーナッツをチョコレートとともに食べるチュロスまであって、上げてはいけない血糖値をついつい上げて、4日目の旅程へ。 バスはアンダルシア地方をさらに南下して、地中海に面したコスタ・デル・ソル(太陽海岸)沿…

スペインの春⑥アルハンブラ宮殿とフラメンコの夜

世界遺産アルハンブラ宮殿へは、グラナダ市街からくねくねと丘陵を上っていく。途中の道沿いには洞窟住居跡も残る。 イスラム最後の砦だったグラナダのアルハンブラ宮殿は、1492年にカトリック教徒によって陥落、レコンキスタは完成する。この年にはコロンブ…

スペインの春⑤コンスエグラの風車

トレドから風車の村コンスエグラへ向かうバスの窓外に、現代の風車、風力発電の巨大プロペラが、丘陵の尾根沿いに何基も並んでいるのが見えた。 スペイン中央部カスティーリャ地方のラ・マンチャ州。アラビア語の「乾いた土地 manxa」が名前の由来とされ、セ…

スペインの春④トレドの夢

マドリードから世界遺産の古都トレドへはバスで1時間ほど。この程度のバス移動なら楽ちんだが、翌日からは3時間、4時間がかりの行程が待っている。 街の三方を堀のように囲むタホ川の対岸から、旧市街の全景を見る。河岸にごつごつした岩が露出し、王城の…

スペインの春③「ゲルニカ」

プラド美術館から国立ソフィア王妃芸術センターへ。 ソフィアも与えられた時間は40分。1992年開設の現代美術館で、目玉はピカソ(1881~1973)の「ゲルニカ」だ。 http://www.museoreinasofia.es/en/collection 内戦時の1937年4月、反共和国政府のフランコ…

スペインの春②プラド美術館の一時間 下

プラド美術館はフランシス・デ・ゴヤ(1746―1828)の絵画150点、素描、版画500点を所蔵し、ベラスケスとともに、世界最大のコレクションを誇る。 ピレネー山脈でフランスと隔てられたスペイン北東部、アラゴン地方の寒村で生まれ育ったゴヤは、若くして職業…

スペインの春①プラド美術館の一時間 上

スペインといえば、今もまだドン・キホーテの国! 4月19日、ホテルからバスで朝一番に連れて行ってもらったのが、スペイン広場。 ドン・キホーテとサンチョ・パンサの像があり、二人を作者セルバンテスの像が見下ろしている。 前日深夜、マドリードのホテル…

「ビュールレ・コレクション」はなかなか凄かった

東京・六本木の国立新美術館で開かれている「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」が思いのほか良かった。印象派の世界有数の個人コレクションの看板に偽りなしでした。 目玉のルノワールの「イレーヌ」がひときわ輝きを放っている。「イレーヌ・カー…

スピルバーグ映画ではないけれど「ザイムショー・ペーパーズ/改ざんしまくり」

300か所にわたる財務省の「森友文書」改ざんの詳細が、新聞各紙に一斉掲載された3月13日(火)のちょうど1週間前、朝日新聞朝刊に、映画監督スティーブン・スピルバーグのインタビュー記事が載った。 今年のアカデミー作品賞などにもノミネートされた最新…

二人の写真家の「読む時間」

昼寝するゾウに寄り添うようにして本を読む上半身裸の男。場所はタイのチェンマイ。 スティーヴ・マッカリーの写真集「読む時間」は表紙から目をくぎ付けにする。 クラシックカーのそばで新聞を広げるキューバの男。 アフガニスタンのカブールでは、古着が…

「黒い睡蓮」 たまにはミステリー

クロード・モネが後半生を送ったフランス・ノルマンディー地方の小村ジヴェルニーを舞台にした仏製ミステリーと聞けば、読まないわけにいかない。 睡蓮の池近くで村の眼科医の男が水死体で見つかる場面から始まり、3世代、3人の女性の話が並行して叙述され…

犬の話

犬の一生は短い。 欠点はそれだけである。 「人生はワンチャンス!」という本の巻頭にある、作家アグネス・スライ・ターンボールさんの言葉。 戌年. 我が家のウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア(ウェスティ)のルーヴル(雄)は先月10歳になり、人間…

ニューヨークの秋(6日目、帰国)ウォーホル、サリンジャー、スティング

夢かうつつか、遠くから騎兵隊の突撃ラッパのような起床ラッパのような音が聞こえてくる。NY最後の朝の幻聴?長く長く続いて、しっかり目が覚めてやっと鳴りやんだ。変わり種のアラームだったのか。 23階のホテルの部屋。大きな窓のカーテンを開けると、明…

ニューヨークの秋(5日目) MoMAからストランド・ブックストアへ

(ピカソ「三人の音楽家」) アートの街、街のアート ニューヨーク近代美術館(MoMA)の開館は午前10時30分。ホテルの1ブロック東にあり、開館まで周辺をぶらぶらする。前日と違って、ビジネスパーソン風の人たちの足早の往来が多い。車もつんのめるよう…

ニューヨークの秋(4日目)マラソンのちステーキ

これが五番街 ニューヨーク・シティ・マラソン当日。といっても走るわけではないが、NYに来るまでは見られたら見るぐらいにしか思っていなかったのに、前日のプレイベントの雰囲気に圧されて、今日はゴール間近のホテル、ザ・プラザ前で見ることにした。曇…

ニューヨークの秋(3日目) 超広角メトロポリタンwith セントラルパーク

(セントラル・パークを窓越しに望むメトロポリタン・ミュージアム) プレ・マラソン 朝9時過ぎ、ホテルの回転ドアをくぐって六番街に出ると、カラフルなウェアのランナー集団が車道に広がって走っていた。ニューヨーク・シティ・マラソンは明日5日の日曜…

ニューヨークの秋(2日目)9・11メモリアルからブルックリン

街を巡り、昼と夜の摩天楼群を展望し、ブックリン橋を渡ると、ここは人種だけでなく近現代建築物の坩堝だとわかる。 ダウンタウンツアー バス ナイトツアーの興奮が尾を引いたのか、寝付けないまま朝を迎え、ぼんやりした頭で、ホテル向かいのスターバックス…

ニューヨークの秋(1日目)摩天楼ナイトツアー

(二階建てバスからのタイムズ・スクエア) 到着の夜、予定していなかったナイトツアーに参加したら、想像を超える景色に、ニューヨークハイとなった。 ロケ地・NY 11月2日午後1時55分、大阪空港発のANAで成田へ。午後4時40分発のJFK空港行のAN…

ホテル・エドゥアールⅦ(Hotel Edouard 7)―オペラ座近くにあって便利でこぎれい

ホテルに到着して部屋の窓を開けたら、オペラ・ガルニエの正面が眼に飛び込んできた。広いオペラ通りに面したセーヌ右岸2区のホテル。ここから、南仏に小旅行をして戻ってきたら、部屋が変わっていて、オペラ座は見えず、マンションの屋根、屋根、屋根。そ…

映画「セザンヌと過ごした時間」(2016年)ー林檎を描く姿を見たかった

セザンヌの絵が20世紀の芸術家の心をとらえたのはなぜか、その絵はどのようにして描かれ、あの造形、色彩、タッチに込められたものは何か、もろもろのセザンヌ絵画の秘密を映画は見せてくれるのではないか、という期待が多少あったのだけれど、むろんそれは…

パリ ピカソ美術館(Musée Picasso Paris)ー北斎とピカソは似ている

ピカソの作品は4点買った。うち2点は居間に飾っている。本物ではないが(言わなくてもわかっている)、部屋の装飾に悪くない、と思っている。 1点はパリのピカソ美術館で買った「ヴァイオリンと楽譜」。素材を張り合わせたコラージュで、キュビズム時代の…

日常に魔法をかける 映画とアートと直木賞

「私の描くグッとムービー」というコーナーが、朝日新聞の金曜の夕刊にある。いろんな人が、イラストとともに好きな映画を1本、マイライフにからめて紹介するのだが、映画評論の専門ではない人だからこその視点と出会いが面白い。 9月8日は、イラストレー…

決定的瞬間の記憶「パリ・マグナム写真展」

写真家の優れた眼なのか、被写体の持つ物語性なのか、パリ好きのフィルターのせいなのか、パリをテーマにしたマグナムのこの写真展(京都文化博物館、9月18日まで)は面白かった。 アンリ・カルティエ・ブレッソンの最もよく知られた「ヨーロッパ広場、サン…